第10号 H12.8.



巻頭
  
「ご先祖様をお迎えする」

                         住職 標 隆光

 8月・9月はご先祖様との結びつきが多い季節です。
 長崎・広島の原爆慰霊祭や終戦記念日、盂蘭盆会(お盆)、9月のお彼岸と続き、お墓参りやお寺に伺う機会も多くなって参ります。
 先般行われた沖縄サミットでは、初日にアメリカ・クリントン大統領が太平洋戦争の犠牲となられた、20万人の名前が刻まれた「平和の礎」を訪問し、平和を守ることの重要性を演説しました。この礎には平和を守り、戦争の恐怖を永く忘れてはならない証として受け継がれていくことでしょう。
 さて我々のご先祖様は、遙か昔から血縁を繋ぎながら今日の私たちの体や心を形作ってくれています。そのご先祖様達を各家々にお迎えし、他界に於いての仏道修行を労い、おもてなしをするのが「お盆」の行事です。
 お盆は盂蘭盆の略で元々の梵語(サンスクリット語)ではウランバナと発音し、中国で漢字に当てはめて「盂蘭盆」となったのです。この意味は「逆さに吊されたときの苦しみ」を表し、ご先祖様の苦しみを救ってあげるためと、日本古来から伝わる祖霊信仰(先祖の霊魂を迎える魂祭り)とが混ざり合って日本的な行事になっています。また、お盆は帰省とも重なって、家族が集まる機会でもあり、墓前や精霊棚で合掌して、ご先祖様と向き合う良い機会でもあります。親から子へ、子から孫へ今まで日本人が続けてきた良き風習を続けていく義務があるのではないかと考えます。とかく現実社会に呑まれて自分のことしか、目を向けられない人々が多くなってきています。ご先祖様と向き合ったときに自分は何のために生まれてきたのか、このままで良いのか、他にすべきことはないのか、自問の答えを見つけられてみたら如何かと思います。




心の教育 10

  
「子供が大人になるとき」

 余程ひどい事例を除いて小学生ぐらいまでは、どの子も従順で大人の意見に従い、犯罪事件を犯すようなことはありません。中学生になると心の葛藤と社会の狭間の中で、反発心などが出てきます。いわゆる反抗期という時期と、性に目覚める思春期とが重なって、気楽で自由な毎日に憧れ流されていきます。高校生ともなると、精神面以外は既に大人同然で行動力や持論も持ち合わせて、自我を優先させて生活するようになります。但し全ての子供がそうであると言うことではなく、そうした行動を執る割合が多くなり、また身近な友達同志で影響し合って集団行動に移ることもあります。このように社会の構造上、思ったことが何でも出来てしまう年齢が、最近の事件に多い「17才」の年齢となるのです。
 ここに「自制心」を持たせる躾教育の実践を提言します。躾とは違和感やストレスを感じずに、身の振る舞いや言動が備わることですが、その奥には感情が作用し合って、人間を形成しているのです。自制心とは、自分の心の統制を執ることです。自分の気持ちの思うがままでは、社会や家庭で人間関係が上手くいかなくなります。人を思いやり自分を殺す気持ちも備わって、周囲と上手くやっていけるのです。中高生がこれを読み実践してくれれば一番良いのですが、まず大人の人達が実践して、子供達にお手本を示して見て下さい。


幸福を考える 9

   
「和 顔 愛 語」

 6月中旬に甲西町在住の信徒のご長男の結婚披露宴にご招待を受け出席させて頂きました。ご子息は東京にお住まいで、数年前にマンションをご購入の折や開運祈願などお寺には、お一人でお参りになっていましたが、本年四月桜咲き揃ったときに、お相手の方と共にお越しになりました。かねてよりご両親から縁結びのご祈願もされておりましたので、直ぐに合点がいきました。披露宴の日取りの事でご相談に来られたのですが、その折に結婚生活について次のようなお話をさせて戴きました。

 一、笑顔が絶えない家庭を作ることに努力する。
二、相手を思いやり、労いの言葉を掛ける
 三、どんな小さな出来事でも良いから話をする。
 四、人生の目標を持つ。(楽しみを持つ)
家庭の中が上手くいっていないと、社会の中でも上手くやっていけません。人の気持ちを理解し合いながら生活する。そうすることによって、人間関係が上手く行き幸せが訪れる。
 実践するのは大変なことですが、疎かにすればそのツケが必ず廻ってきます。幸せ作りは日々の積み重ねなのです。
 また、4月29日にご結婚された、櫛形町の信徒のご長男の方からもご結婚の通知を戴き、ご祝辞の代わりに右内容のお手紙を書かさせて頂きました。お幸せをお祈り致します。


健康長寿の実践 5

「楽しく生きる・笑いの効用」


 誰でも辛いことや嫌なことは常に身の回りに取り巻いています。何かに失敗したり、悲しみや悩みに心を支配されてしまうことは、いわば生きている以上仕方のないことです。全てが上手く行き、また自分の思うように進むことなど、まず有り得ないことを認識しましょう。少々の失敗にはクヨクヨせずにこれからのことを考えるようにしたら良いと思います。
 最近の医学の研究では「笑うこと」によって脳が刺激されボケの症状や脳の退化にブレーキが掛かることが明らかにされました。ご年輩の方であれば「古典落語」の様な笑いが理解できるものを見たり聞いたりすることが良い方法だと思います。また、自分で人を笑わしてあげたりすることが出来れば元気で長生きが保証されること請け合いです。親に貰った一生を楽しく和気藹々と過ごされた方がよっぽど良いと思います。最近、涙が出るほど笑ったことありますか?


仏教の教え 2

    
「仏教の根本教理T 四諦」

 お釈迦様のころは人間として生まれ、年をとってやがて死に至ることに不思議を感じていました。これは四諦の中の苦諦で表される生老病死(四苦)を紐解くものでした。
 お釈迦様は覚りを開かれた後、最初に説法を行ったのがこの「四諦・八正道・十二因縁」についてでした。(このことを初転法輪といい、仏教の根本教理になっています)
 四諦は四聖諦とも言って、解りやすく解説すると四苦八苦の苦しみから抜け出すための考え方を四段階に大別しました。
 まず人生は苦しみという世界にあること【苦諦】、この苦しみの原因は煩悩や欲望が集まっている【集諦】、そこで煩悩欲望を完全に滅ぼせば、苦悩を除くことが出来る【滅諦】そのためには八正道(次回解説)と言う涅槃(究極の悟りの境地)へ至る八つの正しい行いに励むこと【道諦】で、このことを『苦集滅道』と呼ばれています。


仏教Q&A

 
 「古い日本人形やお雛様などがあり、ただ
   捨てるのも気が引けて処分に困っています。
   どうしたらよいでしょうか。」


 思い出があったり、父母や祖父母または我が子が使っていた人形ともなると、魂が通い合って居るかのようで、簡単に消却やゴミとして廃棄するのには抵抗があるものです。
 このような場合は、当寺院のような祈願を主に行っているところで、お焚き上げ供養を行ってもらうのが一番だと思います。
 それから心の持ち方ですが、お身内の方が使われた愛着あるお人形ですから、いたわりの念と感謝の気持ちを持ち、自然に帰してあげることと、手厚く供養する心でお引き取りをお願いするのが望ましい姿だと思われます。その行いが心に安らぎや安心の功徳が現れて、心優しい姿になってゆきます。
 最近の環境問題でダイオキシン等の有害物質を発生させるプラッスチックやビニールなどの化学物質は勝手に消却できなくなっている風潮ですので、プラスチック製のものは、お引き取りをお断りする傾向が多くなっています。


仏教からきた言葉

ひどい(非道)


 仏教ではさとりを求めて行う修行のことを「道」といい、その道からはずれることを「非道」と言います。修行上好ましくない行いから転じて、残酷なことやむごい様子を形容して「非道い」となったと言われています。「ひどく悪い」などは非常と似た使われ方をしますが、「極悪非道」の意味です。
────────────────────────── 
不動明王御真言(慈救の呪)
 のうまく さーまんだー ばーざらだん せんだ まーかろしゃーだー
 そわたや うんたらたー かんまん

薬師如来御真言(病気平癒)
 おんころころ せんだり まとうぎ そわか

光明真言(罪業消滅・仏法崇敬)
 おんあぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まにはんどま じんばら はらはりたやうん

弘法大師御宝号
 南 無 大 師 遍 照 金 剛


 
明王寺本堂再建計画 2

 前号の『明王寺だより』と共に再建趣意書を同封させていただき、その後多くの方々に奉賛金のお納めと、ご計画を立てていただき有り難うございました。
 お陰様で現在信徒の関係の方からは、120戸の皆様から250万円余のご奉賛金をご寄付いただきました。7月末現在では目標金額に800万円ほど足りない状況でございます。ご無理を申し上げ誠に申し訳ございませんが、今後ともなお一層のご協力をお願い申し上げます。

ご奉賛のお願い(金額の強制はございません)
 当寺院は檀家数が10件と微数でございます。また、檀家各戸と住職始め親族においても精一杯の奉賛を計画いたしましたが、目標金額には達し得ません。ここに信徒並びに明王寺とご縁の在ります皆様方のご協力を得なければ完成には至らないのが現状でございます。このような状況をお含み置きの上、奉賛期間中は絶大なるご支援を頂けますようお願い申し上げる次第でございます。
 また、ご奉賛戴きました方には、ご芳名とご功績を新築本堂に掲げ永く表させて頂きます。
               明王寺本堂建設委員一同 住職 標 隆光 拝

建設内容
 木造入母屋造り 約30坪(建設図参照)
 総工費     3000万円以上
 工期      平成13年1月〜同年11月
 奉賛期間    平成12年5月〜平成14年12月

  建設関係のお知らせ

◎白根町飯野地区の一部と甲西町湯沢・落合地区は農事の都合により八月末から十月頃に地区役員がお願いに上がりますので、その節はよろしくお願いいたします。

◎郵便振替用紙に口座番号が印刷されていますが、金額と見間違えてしまうケースがございます。奉賛金額を当方から強制することはございませんので、ご了解をお願い致します。

◎税金控除の件
 会社を経営されている方には、奉賛金は一般寄付金と同じ扱いによって、控除の対象となります。ご寄付をお申し出の際は、会社名のご連絡をお願いいたします。なお個人の献金に就きましては控除対象になりませんので、ご注意願います。

◎ご奉賛金本誌掲載の件
 今までにご奉賛いただきました皆様には、お礼状を送らさせていただきましたが、その内容に今回の『明王寺だより』にご芳名を掲載する趣旨を書き入れましたが、諸般のご意見に従い、本堂落成後に掲載することになりましたので、ご了承の程お願いいたします。


読者コーナー

 俳 句

太陽が 近くて濃くて 青葡萄      甲西町 井上 光子

九十五才 上手に逝きて 更衣     甲西町 井上 光子

収穫期 二台のリフト 作動する    白根町 塩谷 道子

学期末 やっと慣れた 満員電車    浦和市 保坂 恭子
中学一年 十三歳
────────────────────────── 
 川 柳

紫陽花の 枝で梅雨待つ 蝸牛    櫛形町 市川まさる

ストレスを 流す温泉 強いシャワー  白根町 塩谷 道子

────────────────────────── 
 短 歌

貧乏性 動いて居ると 楽しくて
年齢を忘れて 過労に悩む       櫛形町 市川まさる

作業場 電気ポットの 音ききつ
一息入れて スモモを詰める      白根町 塩谷 道子

いつまでも あると思うな 夏休み
父の言葉を 無視して遊ぶ      甲西町 標  陽平
                       中学一年 十三才

編集後記

  暑中お見舞い申し上げます。
 今年の夏は特に暑く感じます。湿度が高いのも一因かもしれません。皆様方に於かれましては、如何お過ごしのことでしょうか。日中は直射日光を避けお体ご自愛いただきたいと思います。
 今月号から広告の掲載を始めました。縦書き3p×12pで年間四回発行分合計で5000円です。横書きは3p×17pで年間7000円です。その他1頁分五万円、1/2ページ分二万五千円となっています。増穂地区280部、甲西・櫛形・若草地区120部、白根・八田地区120部、その他の県内110部ほか県外20部を発送しています。
 次号、読者投稿等の原稿締め切りは10月末です。感想や思い出話、お考えなど500字から1000字程度でお願いします。是非お待ちしています。
 明王寺のホームページを開設しました。パソコンをお持ちの方は左のアドレスか「寺院コム」「UTY」などからアクセスしてみてください。
 「甲斐百八霊場巡り」という番組が、テレビ山梨(UTY)で再放送されていますが、10月12日 午前11時25分から5分間です。ご都合を付け、ご覧頂ければ幸いです。   (隆)


前号へ****次号へ  「明王寺だより目次へ」  明王寺TOPへ 

 ご感想・ご質問等はこちらまで